MIMURA ACCOUNTING NEWS Vol.58
担保物がある場合の貸倒れ
税制改正により、原則として貸倒引当金が廃止され、回収不能となった金銭債権等を損金計上するには貸倒損失となりますが、法人税法上には貸倒損失についての規定がなく, 具体的な取り扱いは基本通達に依存する現状下で、この度国税庁のHP上に4つの質疑応答事例が公開されましたので、事例を1つずつ説明します。1.基本通達の取り扱い(法人税基本通達9-6-1(4)、9-6-2)
債務者の債務超過の状態が相当期間継続し、その金銭債権の弁済を受けることができないと認められる場合において、その債務者に対し書面により明らかにされた債務免除額について、貸倒処理ができます。
また、債務者の資産状況、支払能力等からみて、金銭債権の全額が回収できない事が明確な場合は、担保物がある時は処分した後で貸倒処理ができます。
2.具体的な取り扱いの注意点
(1)原則としては、担保物がたとえ劣後抵当権であっても処分後でなければ貸倒処理を行うことはできませんが、その劣後抵当権が名目的なものであり、実質的には全く担保されていないことが明確な場合には、担保物を処分する前であっても貸倒処理することができます。
(2)担保物の処分による回収可能金額が少額に過ぎず、担保物の処分費用が多額になる見込で、債務者の債務超過の状態が相当期間継続している場合に、債務者に対して書面で債務免除を行った時は、貸倒処理ができます。